開業鍼灸師を目指そうよ
鍼灸師はやめておけ?
twitterで鍼灸学生さんや鍼灸師になりたい人をフォローしています。
学校の様子や、仕事と掛け持ちで勉強が大変そうだったり、子育てと並行して通学する大変さなどが書かれています。
でもほとんどの人は「不安はあるけどこの業界で頑張っていきたい」という前向きなものです。
一方、
鍼灸師を否定する鍼灸資格保持者もいます。
鍼灸師とgoogle検索すると「鍼灸師やめておけ」「鍼灸師後悔」という関連キーワードが出るくらい、それは多いようです。
まぁ、たしかに「資格を取った後」が大変なのはわかります。
鍼灸施術ができない、薄給、拘束時間長い、休み少ない…などなど厳しい壁が立ちはだかっています。
これはおおむね事実なので、「それを覚悟のうえで鍼灸学校に行った方が良い」というのは良いアドバイスでしょう。
それらを踏まえて、
鍼灸免許をすでに取得した人の最終的に目指すべき解決策は「開業」です。
開業鍼灸師には良いことがたくさんあります。
あ、ちなみに、
鍼灸師とは全く違う畑に転職すること自体は何ら間違ってはいません。
仕事は収入とやりがいと居心地の良さが大事です。
それが鍼灸業界では果たせないなら転職は逆におススメです。
あくまで、
鍼灸に思いのある人が鍼灸師として生きていくためには開業鍼灸師だろうな、ってことです。
開業鍼灸師の良いところ
以前、別に『鍼灸師の魅力とやりがい』(https://hot-89.com/miryoku_yarigai/)という記事を書きました。
よければこちらもご参照ください。
開業鍼灸師の良いところは…、
・時間を自由に使える
・休みも自由
・料金設定も自由
・施術内容も自由
・定年退職がない
・体の負担が少ない
…です。
時間を自由に使える
ひとり鍼灸院は予約制が基本です。
予約制の基本は「患者さんを待たせない」というメリットですが、自分一人で時間管理するには予約で来てもらった方が都合が良いということもあります。
たとえば私は「ひとり親」です。
子供関係でどうしてもある時間仕事を抜けないといけないこともあるし、臨時の休みも取る必要も出てきます。
患者さんからしてみたらこれは「サービスが悪い」ことになりますが、人生を生きるいち人間としては「仕事も家も大事にしたい」のです。
それをうまく両立させる方法として、予約制で時間を有効活用したいし、それが自由にできる開業鍼灸師の在り方は素晴らしいです。
休みも自由
これは予約制で時間管理しようという話と同様です。
休みを1日にするか2日にするか、何曜日か、夏休みはいつとるか、お正月休みはいつとるか…など。
誰でもない自分で決められる素晴らしさは開業鍼灸師(自営業)ならではです。
料金設定も自由
施術料金は安ければいいというわけではありません。
これは経営者目線で考えてみればわかります。
安くし過ぎるとじつは経営が成り立たなくなって早期に閉院してしまうのです。
顧客目線で考えたら「安い方がいいだろう」ってなりますよね。
しかし、安くても患者さんが大挙して押し寄せるわけではない…のが理由です。
1回5000円の治療費で一日5人施術していた治療院(1日の売上2.5万円)が、2500円に値下げしても一日10人は来ないです。
なので結局売上は減少することになり、廃院になるのです。
この辺は非常に興味深いところですね。
もちろん、
これはその人の資産によってかわります。
他に収入減があり、お小遣い程度の稼ぎでよい鍼灸師さんなら安価な施術費でも継続できるでしょう。
もちろん高すぎる価格設定もうまくいかないのは当たり前のことです。
儲け主義ではなく長く継続できる堅実な治療院経営を考えて料金設定をしたいものですが、その辺も含めて自由に値決めできる裁量が開業鍼灸師にはあります。
施術内容が自由
鍼灸のメジャーな流派では中医学・経絡治療・科学ベース・長野式…などありますよね。
刺さない鍼や熱くないお灸ってのもあります。
自分の望む方向性で施術内容も決められます。
もちろん値決めと一緒で、自分がどんなに希望するものでも、それが適正なものでないと通ってもらえないのでうまくないです。
定年退職がない
鍼灸院というより自営業のよさですが、定年がありません。
人生100年などと脅かされる昨今ですが、定年後に大きく人生が変化してしまう人も少なからずいます。
今までのキャリアがすべてリセットされるし、その時点で自分の道を選択しなければいけません。
定年制はそれが強制的にやってくるわけです。
開業鍼灸師は、続けたければずっと続けられるし、辞めたければ辞められるし、少しだけ軌道修正するとかも可能です。
それも自らの意思で、自らのタイミングでできます。
素晴らしいことです。
体の負担が少ない
体的に継続しやすいのもメリットです。
これは開業というよりは鍼灸師そのものに備わったメリットですね。
目を酷使するとか、力仕事だとか、加齢に伴って難しくなる仕事だとどうしても継続が困難になります。
鍼灸だって感覚の低下や微細な手の動きの低下などあるでしょう。
それは事実です。
しかし、今ある自分の身体能力に合わせて施術を変更することもできるし、そもそもそこまで肉体両道な仕事ではありませんから継続もしやすいです。
長く続けるにはもってこいな仕事と言えます。
まとめ
勤務鍼灸師として生きていける人は正直ひと握りです。
それなりの収入を得られるのは病院勤務くらいでしょうか。
介護業界で鍼灸から少し離れれば勤務もできる…かな。
街の鍼灸院で定年退職まで勤め上げられる院がどのくらいあるか…。
とにかく鍼灸資格保持者の人数の中ではひと握りかと思われます。
多くの鍼灸師にとって、「鍼灸をする鍼灸師」として長くやり続けるには「開業」一択なのではないでしょうか。
そして開業には夢と希望とやりがいが詰まっています(笑)
もちろんラクしてうまくいくわけではありません。
努力と諦念と運も必要かも。
でも、
開業鍼灸師の在り方こそ、鍼灸で人々の健康に少しでも貢献したいという想いを果たせる在り方だと思います、
私の治療院のそばに「優秀な鍼灸院」を開業してほしくはないですが(本音あふれる…笑)、同じ鍼灸師として鍼灸をする鍼灸師(=開業)を目指してほしいです。